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明が制服に袖を通しながら玄関の扉を開ける。
朝海が時計を見ながら明が出てくるのを今か今かと待ってる様子だった。
「明、早く早く!学校に遅れちゃうよ!」
慌てる朝海をよそに明は落ち着き払っていた。
「心配するな。学校は逃げない。それに遅刻は遅刻。1分遅れても10分遅れても遅刻なんだ。どうせならゆっくり行こう。」
「馬鹿な事言ってないで早く行くよ!」
朝海は明の手を引っ張り通学路を急ぐ。
途中、信号や踏み切りに邪魔をされながらも何とか学校に着いた。
「ちょっと、あんた目ヤニついてるよ!」
「いちいちうるさいな、新しいオシャレだよ!時代が俺に追い付いてないのが悪いんだよ!」
「何で取ってこないのよ!もうだらしない!」
「だっておまえが急げって言うから急いで家を出たんだろ?」
二人が白熱したバトルを繰り広げてる時だった。
「キーンコーン、カーンコーン」
朝海の努力も虚しく、チャイムが鳴った。
「はぁ~。最悪。」
ガッカリする朝海。
明はといえば…いつも通りあっけらかんとしていた。
「そう落ち込むな。陽はまた昇る。」
「あんたのせいでしょ!」
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