美島 羽菜 の 事情

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美島 羽菜 の 事情

『あ、これかわいい!』 目をきらきらさせて、口角をあげる。 そこにおまけの猫なで声 「ほんとだー」 「羽菜ってピンク好きだね」 「羽菜らしいよね」 一緒に買い物をしていた〔お友達〕が順番に言ってくる。 『うん! だってハナ、ピンク好きだもん!』 そう言って振り返れば 「知ってるよ(笑)」 「羽菜似合ってるしね」 そしたらまたこんな風にほめてくる。   アホらし あたしがピンクがほんとは大っ嫌いなこと知らないのに 笑いながら知ってるって、嘘つかないでよ。 ピンクが似合ってる? はっ、思ってないことをペラペラペラペラよく言えるよね あ、もう気づいてると思うけど (気付かない方がおかしいけど) あたし、自分のこと゛ハナ゛なんて呼ぶの猫かぶってるときにしかつけないから 基本猫かぶってるから゛あたし゛なんて滅多に言わないけどね 「それ買わないの?」 『んー… 今日はやめとこっかな』 あたしも、ウソついたよ 最初から買う気なんてさらさらなかった。 もちろん、またきたとしても買わないけどね
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