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「おはよ…あれ?」
おかしい。
リビングに入るといつもキャッキャッウフフと乳繰り合っている両親がいない。
代わりに手紙が一通、ピンクのハートで目がチカチカする封筒に入っていた。
何処に売っているんだろうこんなの。
『まぃ ぷりちぃ~ どうたぁ~ 緋南(ひな)ちゃんへ(はぁと)』
宛名の段階で既に手紙を引き裂いてシュレッダーで細切れにし、
粉末状になるまでミキサーで蹂躙したい衝動に駆られた私を誰が責められようか。
『ママとパパさんは夫婦水入らずでイギリスに旅行に行ってきま~す!
しばらくはママ達に会えないけど寂しいからって泣かないでね~』
…ふぅ…。
私は軽く息をつくと胸一杯に空気を取り込み、口内で前舌面を平らにする。
そして歯茎の後ろに近付けた舌の先をやや引込め―――
「ええぇぇええええぇええぇえええぇぇええええぇぇえええぇぇぇ!!?」
ええ、叫びましたよ。
恥も外聞もなく、ご近所さんの迷惑も顧みずッ!
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