メイド君と御主人様♀

ep:1『このだらしのないメイドがッ！』

とりあえず手紙は手で引き裂くだけに止めておき、私は制服に身を包むと朝食もとらずに家を出た。

別に遅刻しそうで食べる時間がないなんベタな展開でないし、ダイエットでもない。

夜逃げ同然で愛の逃避行（仮）と洒落込んでいる両親にムカついて食べる気が起きないわけでもない。

作　れ　な　い　ん　で　す　何　か　文　句　で　も　？

そう、私は家事が壊滅的に下手なのだ。

ホウキと雑巾での掃除くらいなら何とかなるがそれ以上は無理だ。

洗濯機が黒い泡？を噴出したこともある。

クリームシチューを作っていたら鍋の底が溶けて穴が開いたのは記憶に新しい。

現に手紙をシュレダーにかけなかったのは家になかったからだが、ミキサーにかけなかったのは単に使い方がわからなかったからだ。

まあ、今更自分の家事能力のなさを嘆いて仕方がないし、養ってもらっている身で親に朝食の文句をたれても仕方がない。