第一章

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我が輩は猫である。名前はティグリス。 ティグリスという名前はラテン語で虎という意味らしい。 我が主人が如何様な理由でこの大層な名前を付けたのかは定かではないが、聞くところによると、主人の持つある病気が原因であるという話だ。 齢五歳でこの家に引き取られた身としては、やや先行きが不安になる話だが、この家に来てから半年ほどたった今でも我が主人の心身に不健康な面は見られないので、恐らくはただの噂だろうと思う。 ちなみに、主人が持つとされる病気は名を「厨二病」というらしい。 何でも世界一の精神科医でも治す事が不可能と言われている難病だとか。 何とも子供じみた噂であるが、所詮、猫の想像力などこの程度のものである。
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