第一章

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こんな事を言っていると、猫にとって飼い猫であることは不幸であるように感じてしまうかも知れないが、必ずしもそうであるとは限らない。 我が輩のように、飼い猫であることに別の楽しみを見いだす者も少なからずいるし、そもそも野良猫の平均寿命は四年とも言われ、飼い猫と比べ半分以下しかない。 もちろん、老いぼれた体でだらだらと生きるのはそれで辛いものがあるかもしれないが、何はともあれ長く生きるに越したことはないだろう。 そんなわけだから、我が輩を始め大抵の飼い猫は野良よりも自分達の方が幾分幸せなのだと自負しているのだが、それでは数少ない冒険者達(前述の好奇心旺盛な猫達)に失礼であるし、そういう猫達の中には確かに普通の飼い猫よりは若干幸せな人生を歩んだ者もいることは我が輩も認めざるを得ない。
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