第一章

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白蓮(はくれん)という名のその猫は、名前の通り真っ白な毛並みを持つ美しい猫だった。 だった、というのは、別に彼が故人であるからという意味ではなく、単にもう一度会えるかどうかわからないからである。 というのも、彼に初めて会ったのは、正月に主人が我が輩を連れて実家に帰省した時のことなのだが、その場所がやけに山奥にあったために、彼の住むところの正確な位置を覚えていないのだ。
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