第一章

9/10
前へ
/10ページ
次へ
一体その場所が我が輩の家からどの程度離れた所にあるかは定かではないが、主人の実家はどこぞの山奥にある古風なお屋敷であった。 石造りの垣根は、たとえ世界一の跳躍力を持つ猫でも登れないほどに高く、母屋も普段我が輩が住んでいる一軒家とは比べ物にならない位の広さがあった。 にもかかわらず、正月やお盆の際に親戚一堂が集まる時を覗けば、主人の両親と母方の従兄弟夫婦及びその子供意外は数人のお手伝いしか住んでいないと聞いた時は流石に驚いた。 猫を三十匹程飼ったとしても有り余る位の部屋数と広さを持つというのに、何とも勿体無い話である。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加