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田んぼの中にぽつぽつと木造の家がある、絵に描いたような「田舎の村」だ。面積は広いのに人気は少なく、住んでいる人間よりも動物の方が多いように感じる。
ちらりと後部座席を見る。少女は眠っているのか気絶しているのか、まだ目覚める気配がなかった。
この村の人間なら道を聞けるのだが。無理に起こすのも何だと思い、青年は車を走らせる。幸いにして行かなければいけない場所は遠目からでもすぐに分かった。
村の中でも一段高い場所に作られた、一際大きな日本家屋へと着く。塀の横に車を停め、少女を車内に残したまま青年は外に出た。
車から出て初めて気付いたが、空気に味が付いているように感じた。都会と比べて澄んでいると思う。実際に味はついていないだろうが、そう思えるほど呼吸が心地よかった。
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