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観光に来たわけではないので、すぐに気持ちを切り替える。かけていたサングラスを外し、胸ポケットに入れた。
引き戸の隣に設置されている、真新しいドアチャイムを押す。高い音が鳴り、しばらくしてガラガラと引き戸が開いた。
出てきたのは根岸色の着物を着た若い青年だった。一流モデル並みとは言わないがかなりの美形で、女性にモテそうだ。彼はこちらを見て二回ほどまばたきをした。
「どちらさまでしょうか?」
「影森(かげもり)さんのお宅で間違いないでしょうか? 私は四宮(しのみや)よりきました、クーニベルト=ライトニングと言います」
金髪の青年――クーニベルトは財布から名刺を取り出した。受け取った青年はしばらく名刺を見てから、「ああ」と顔を上げる。
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