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「春夫さま、お願いがあるのですが…」
年老いた、白髪の執事…海白家の執事である日野智貴は今年で63歳を迎える。
そんな彼が主人の部屋を訪ねて頼みごとを口にした。
パソコンから視線を離し、智貴に目をやる温厚そうな主人。
「ん、どうした?」
「はい、じつは…」
その頼みごととは、智貴の孫娘についての事だった。
彼の孫娘、日野和香の両親は彼女と多額の借金を残して行方を眩ましてしまったために、祖父の智貴が妻と面倒を見ていたが、去年に智貴の妻が病でこの世を去り、面倒を見るのが智貴のみになってしまった。
なので自分がつとめているこの家に和香を居させてもらえないか、の事だった。
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