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だがひとつ致命的な問題があった。漣はまだ、卒業後の進路が決まっていないということだった―
12月ももう半ばだ。もし大学進学を漣が言い出したら、母と共に応援すると妃は前から決めていた。補助金など出なくとも、彼はもう本当の家族には違いないから、金は何とか出すと決心していた。奨学金もあるし、漣がやる気ならそうさせてやりたかった。
しかし、以前担任から連絡があり、漣が進路希望調査表を全く提出していないことが明らかになった。彼に問い詰めても、「進学はしない」の一点張りだった。
かといって、就職をする気もないらしい。ではニートになるのか、と聞けば、首を振った。何をしたいのか分からない。将来のことを、漣は何も話してくれなかった。
早朝からふらふら外を出歩くし、彼が精神的に不安定に見えてきた。この際、ここで漣と話し合っておこうと妃は覚悟した。
「榮太朗も京も早く着替えておいで。梨青も片付け私がやるから、先に洗面所使って」
妃の言葉に食べ終わりかけていた子供達が頷くと、リビングからそれぞれ散った。弟や妹がいれば漣も話しづらいだろうと思ったからだ。リビングには伸子、妃、漣の3人だけになった。
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