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緊張を切るように、親父が深い溜め息を漏らした。
「いや…正確に言えば…あんたが殺したんだろ?」
アイザックを指差しながら親父が言った事で、また沈黙が漂った。
「言っただろ?私には時間がないと。何が何でも私は現世に行かねばなられない!」
強い口調でアイザックが叫んだ。
「なんで…なんで否定しないんだよ!」
続いて親父も叫び、体に光が浮かび出る。
「アイザックさん、あんたをここを通す訳にはいかない」
構えながら親父から出た言葉で、アイザックが下を向き小刻みに揺れ出した。
「ふははははっ。そうだ私が殺したんだよ」
アイザックが言った瞬間、白髪のおっさんも構えた。
「彼は知り過ぎた。私の計画に支障をきたす存在となる…やむを得ずと言う事だ」
アイザックは更に続けた。
親父とおっさんがその言葉を聞いて、アイザックに飛びかかった。
だが二人はなにかに阻まれ、後ろへ吹き飛び、歯を食いしばる親父、壁にぶつかりうつ伏せに倒れるおっさん。
二人を見て笑うアイザックは扉に近づいた。
「今のお前たちでは私を倒せないのだよ」
アイザックがそう言いながら扉を開け飛び込んだ。
「待て!」
親父が叫ぶ、だがその声はきっと届かなかっただろう。
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