~虚ろな記憶~

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扉の前で虚しく立ちすくむ親父の背中から、異様なものが感じ取れた。 「ハル?どうするつもりじゃ?」 おっさんが顔を上げて言う。 「アイザック止めるなら今の内だ」 親父が答えた。 「無茶はよすんじゃ」 「俺に何かあったら子供達を頼むよ…ボル…」 そう言った親父は扉を開けて飛び込んだ。 「待てハル!ハルーーー!」 おっさんの声が部屋に小さく響いただけ。 そして、俺の視界が中心に向かうように白く染まって行った。
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