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霊力?
そうか!霊力を纏えば、棺を破れる。
てか出来んのか?
そう思った俺は記憶を辿り、目を閉じ自分の魂の波動を感じ始める。
目を開くと体は光を纏い、暗い棺の中が少し明るく見えた。
出来た!
その状態で俺は棺を力一杯に殴った。
「マジか!」
簡単に棺を貫く拳に驚くしかない。
2、3発かまし、壊れた棺から俺は体を起こし辺りを見渡す。
間違いなく俺の葬式だった。
誰もいない部屋で、俺は霊力を消し再び闇が訪れる、両手を見つめながら、俺は荒い息を整えた。
「ん?」
近づいて来る足音が聞こえる。
「冬哉!?」
部屋の電気を付けた母さんが口を手で覆いながら言う。
「母さん!俺は一体…?」
震える母さん、長い黒髪は今日は髪留めで丸く留められていて、喪服が更にその黒髪を黒く見せる。
お互いよく分からない状況の中、俺は母さんの顔に視線を合わせ、赤い目を確認した。
きっと泣いていたのだろう…
そしてその赤い目からまたもや涙が流れ始めた。
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