第五章

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「そういやさ、今年のテーマって知ってるか?去年は友情だったんだけど」 「もちろん知ってるよ。っていうか、ナナ知らなかったんだね」 「たまたまな。それで、今年はなんなんだ?」 「知らないなら教えない」 あ、そうですか。 「ちなみに『愛』とか『恋』とかじゃないからね」 そこはそうであって欲しかったな… 「でも…私が見せたいもの、ナナに伝えたいものは、今日の花火だよ」 ……!? 一瞬動揺して、やがて沈黙がおとずれる。やっぱり沙紀は僕に伝えようとしている。けど何を? 今年のテーマ…やっぱり調べておけばよかったな「まだ打ち上げまで時間あるからさ、いろいろ回ろうよ。わたし、射的とか金魚掬いとかやったことないからさ、やってみたい、連れてってよ」 明るい声で沈黙を破る沙紀の言葉。 「よし、じゃあ行くか」 今どうこう考えても仕方ない 後で全てわかるのだから、今は沙紀と目一杯楽しむことが優先だ。
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