No.01 曇天

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  1人の生徒が屋上に上がって来た。 背が高く、緩くふわっとしたパーマがかった髪型をしている男子生徒だった。 「こんな所で何をしているのですか」 男子生徒はアスファルトを眺める葵に声を掛けてきた。 「別に……アナタは」 「少し様子を見に」 葵は首を傾げた。 「それより、柵があるとは言え飛び降り自殺…いや、殺人かな。それが発生していたのですから、余りそのような所に居ると誤解を生みますよ」 男子生徒はそう言って葵の隣に立って街を眺めた。 「私も死にたい1人だったらどうしますか」 「まさか、死にたい人間はそんな平然に生きられませんよ」 男子生徒はそう言ってすぐに歩き始めた。 「待って」 それを呼び止める葵 「なに」 「葵です。1年の」 「2年の小林です」 それから男子生徒は屋上から立ち去った。  
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