No.01 曇天

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  しかし葵はふと気付いた。 彼は今なんと言った。 飛び降り自殺を殺人と言ったのだ。 いや、しかしながらそれは一部既に噂となっているからそれ程問題ではない。 では何か…… 彼は『発生していた』過去形でそう言ったのだ!! 仮に自殺を殺人と仮定するならば、発生していたとは言わないだろう。 事件がもう起こらない事を知って居るのは彪兎、葵、そして犯人であった梨恵だけなのだ。 つまりは有り得ない。 この3ヵ月の中には自殺を行った生徒も他の学校に居たのだ。伝染した自殺と言う選択肢を選ぶ人間は無限に居るのに、それを終わったと仮定して話す人間まず居ない。 彼はどうして殺人と気が付きそう言ったのだろうか…… 言葉のアヤ…… 考えられなくは無いがなにか釈然としない。 葵がグラウンドに視線を向けると、先ほどの男子生徒が校門付近を歩いていた。 明日のこの時間も屋上に来よう。 そう葵は決める。  
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