No.01 曇天

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  「そのこと彪兎くんには言ったの」 「いえ、まだ……そのことは私たち意外知りませんよね。例えば私のように一度カウンセリングを受けた人物だとか」 梨恵はゆっくり思い出すように考えてから 「知られていないはずよ」 と、呟いた。 「私はお香やアロマに不安を募らせる効果のアルものを使っていたけれど、学校を去る数日前には似た香りで、そういう作用の無いモノを使っていたし、カウンセリングも相手を選んで行っていたもの……」 梨恵は万が一の為に、似た香りのお香やアロマを用意し、学校を移動する際にそれを使っていたのだ。 理由は次のカウンセラーへの違和感を無くす為、警察関係者に怪しまれない為でもあった。 カウンセリングによって自殺を促す相手も本気で悩んでいる人間をターゲットにしていたのだ。 葵というイレギュラー以外に、カウンセリングに違和感を持つ筈がなかった。  
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