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「だったら、私のことは放っておいて」
茜ちゃんは、ありこさんと同じことを、言う。
僕が。
応えてあげられない想いを。
どうにかしたいと思うのは。
僕の傲慢だ。
わかってるけど、茜ちゃんには、辛そうな恋なんて似合わない。して欲しく、ない。
偽善者、と罵られるかな。
「茜ちゃんは…、辛くないの?」
あの夜の続き。
僕は、蒸し返してしまってた。
短冊に書かれたのは、本当の願いなの?
一瞬。
茜ちゃんは、俯いて。
「ねえ、穂積くんに受け取ってもらいたいものがあるんだけど」
僕の質問には答えずに、意味深な台詞を投げ掛けてきた。
「な、なに?」
後ろはドアだけとわかっているのに。
僕は、つい身を後ろに逸らそうとする。
身構えてしまうのは、まだ鮮明だからだろうか。
茜ちゃんが、僕の身体に刻んだ、キスマーク。
僕の明らかな動揺に、茜ちゃんは満足そうに微笑んだ。
(に、逃げたい…)
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