-アヤの存在-

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――… 「…ごめんなさい」 数日経ってようやく全快した山田は驚くほどにピンピンしていた。 「…本当は気付いてた。あれが全て幻覚だったことも… だけど、それでも… 縋りたかった…」 「…奈桜」 「あの植物も、幻覚作用を引き起こすだけで… 何の問題もなかったから…… 」 「奈桜、この学園を出ませんか?」 ふわりと微笑む父の顔に山田は え?と涙に濡れた目を向ける。 「…この学園にいても、辛いでしょう? 今回、僕が来たのはお前を迎えに来たのですよ」 父の言葉に目を大きく見開く。 「………ハル…っ 、てっちゃん…」 山田は不安げに遥達に声をかけるが、二人とも目を合わせようとしない 「…そいつの言うとおりだ。俺達は… 文句言える資格はない」 遥の言葉に山田は愕然とする。 「ハ、ル……っ!」 「行きましょう。奈桜… これはお前のために言っているんですよ」 「………っ ごめんなさい…」 素直に従う息子に山田の父は頭を撫でる。 「もう学園とは話がついています。車もそこで待たせてるので行きますよ」 諭されるように山田はとぼとぼ歩く‥ ――が、ふと振り返った山田は一枚の手紙を渚に手渡した。 「今までありがとう‥。何となく、こんな予感はしてたんだ… だから、手紙を書いてたの。 俺が行ってから、みんなで読んでほしい…」 山田に手渡された渚は無言で見据える。瞳に映る山田の表情は寂しそうな顔だ。 ――… バイバイ 山田の父と山田は高級車に迎えられて、学園を出ていく。 しばらく見ていたが、もう車の姿は見えなくなった‥。
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