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「…それと、お二人は知っていますか?山田は人に無関心だということを‥」
ふと思い出したように渚は二人に訊く
「いや、知らない。というより… そもそも山田のことは初めて知ったんだが」
困惑顔で渚に答える旭は小さく溜め息ついた
「彼は… 学園内でも知る人ぞ知る… ある意味有名人ですよ。『植物オタクの変人』って。」
うわっ‥ なんて不名誉な……
「まぁ、主に有名なのは… ヤツの被害者等ですが。学園の半分には知り渡ってるかと思いますよ。中身が非凡と言えど、見た目は平凡な山田が、なぜ虐めにあわないか分かりますか…?」
「…いや、わからない」
「私も同じく‥」
「はぁ…。
山田の育ててる、というより飼っている先ほどのネペンテス君… アレの蔓が学園全体に這ってるんですよ…」
「「…………なんだって?」」
「ですから、ネペンテス君は育ててもらってるご主人様である山田に誰かが手を出そうものなら‥‥ 来るんですよ。学園の何処にいても…
壁や床、天井、あらゆる隙間、目に見えない小さな亀裂に蔓が入り込んで学園全体に這ってるんです‥
そして、なぜか山田に見つかる寸前で蔓が、しゅるっ!と壁の小さな亀裂から戻っていくんですよ。ですから、山田本人は知らないし、隠れて育ててるみたいですけど、
あんま、意味ないですね…。あ、そうそう。ヤツが現れた場所は少なからず壁が壊れてたりしますから… 見たらすぐわかると思いますよ。
……噂では山田に手を出そうとした親衛隊が2名行方不明らしいです。」
無表情で告げる渚の言葉に二人は頭を抱えた--。
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