存在価値

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[今日は体力測定をしました。コウちゃんの筋力、去年とは桁違いにアップしてました。] [三年生が来てくれたので、新旧のレギュラーで紅白戦しました。コウちゃんの満塁ホームランに拍手喝采でした。] 毎日の様に、アカリからの野球部日報が メールで届いた。 ------ このまま辞めたりしませんよね? アカリは俺と野球部を、メール報告でつなぎ止めているつもりなのだろう。 俺自身、まだ繋がってる気にさせられてるのは、アカリの思惑通りだと言える。 繋がった気になってるのはメールだけじゃなくて、今だ【退部届け】を提出出来ずにいる俺の悪あがきもあるのだろうが。 悪あがき……か…… 自分で言って妙に頷いてしまう。 もう三週間も部に顔を出していない俺に 声をかけて来る奴なんていなかった。 監督や顧問すら『どうした?』の一言もない。 エース不在の紅白戦だって笑える。 いや、笑えないか…… エースはもう居るのかもな。 エースが俺じゃなきゃいけないなんて定理は、初めから存在しないんだから。 『早く戻って来いよ。』 『お前がいなきゃ始まんねぇよ。』 そんな言葉なんて期待してないつもりでいたのに、この虚しさは何だろう? 俺ってこんなに繊細だったっけ? んな訳ないよな? 繊細な奴が、試合中に仲間のミスを罵れる訳が無いもんな。 俺が失ったものは野球人生…… それだけだったのだろうか?
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