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「さあ、この三つの星を結んでみてください。大きな三角形ができましたね。どうです、描けましたか? あなたは物差しをつかいなさい。それと、そこのふたりはおしゃべりをよしなさい。さ、できましたね?これを『冬の大三角』といいます。大切ですからよく覚えておきましょうね。あら、あなた、その星を結ぶのではありませんよ」
「でもさ、先生、三角形になったよ」
「でもちがうのです」
「こっちのほうが大きい三角になったよ」
「あなたまでそんなことを。いいですか、たとえ三角形になっても、違う星を結んでは、それを『冬の大三角』とは言わないのです」
「なんで? おなじ三角なのにかわいそうだよ」
「なんで、ではなくて、そう決まっているのです。教科書をごらんなさい」
「じゃあさ、これはおりおん座?」
「そうですよ。」
「これはおおいぬ座?」
「そうです。教科書にも書いてあるでしょう。昔の人が空の星を見てそう名付けたのです」
「じゃ、おおいぬの隣にあるのはきつつき座ってことだね」
「きつつき座?」
「だってきつつきに見えるんだもん。ほら、この星とこの星、それからこの星を結ぶでしょ。くちばしの形になった」
「じゃあ、こっちのを四角く結んだらテレビに見えるね」
「ロケットもできたぞ。ロケット座だ! あの大きな赤い星がロケットのてっぺんだ」
「みなさん、みなさんは教科書に書いてある星座をおぼえなければなりません」
「先生、きつつき座って昔森に迷った人をきつつきが木をつつく音でみちびいたからできたんだってね」
「ほんとだ、書いてある! ロケット座とテレビ座ものってるぞ! 昔にもロケットやテレビがあったんだね」
「先生、星座って面白いねえ!」
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