天使な女の子

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灰色の空が本格的に黒に切り替わろうとしている 季節のわりに外が暗くなるのが早いのは恐らくは雲の仕業だろう。 「また一降りしそうだな」 「濡れて帰るのだけは勘弁だって…」 僕、佐藤幸四郎は憂鬱だった。 友人の井元雄二に「映画を観に行こう!」と、朝早くに無理やり叩きき起こされ 挙げ句、急に天気が悪くなり昼間には大雨ときたもんだ。 そして映画を見終わった今、また雨が降りそうなのである。 憂鬱にならない人間が居るはずがない。…と、僕は思う。 「よしっ、現地解散な!」 「はっ?」 「雨が降る前に家に帰るのが得策であろう。俺様は天才なのだ!」 「井元…お前なぁ…」 無理矢理誘っておいてこの発言、相変わらず井元はマイペースだ。
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