49人が本棚に入れています
本棚に追加
「・・・・・・知らない。
私は牧元とは何の関係も無いんだ。
だから早くここから出し・・・」
伊藤泰蔵がいい終わらない内に、女がナイフの切っ先を伊藤泰蔵の首筋に当てていた。
「DR・W・・・この名前の意味は解るわよね?」
女の言葉で伊藤泰蔵の表情が蒼白へと変わった。
「何故・・・その名前を・・・?」
「そんな事はどうでもいい。
これが最後の質問、三秒以内に牧元の居場所を答えなさい・・・
生きて家族の元へ帰りたかったら」
「3」
「待て・・・止めるんだ」
「2」
「ぐうぅッ」
「1」
「解った、言う・・・言うから助けてくれ」
「・・・嘘は付かない方がいいわ。
あなたが今から答える場所に牧元が居ない場合は、あなたは死ぬ事になる・・・
あなただけじゃ無く、家族も年若い愛人も一緒にね」
相変わらず自分を見つめる感情の無い目は、きっかけがあれば自分を殺す事を躊躇わ無いだろう。
DR・Wに関わる事は、未来に繋がる事だという思いに一辺の曇りも無かったが、まずは今の状況を打破する事が先決だった。
牧元には悪いが、事態は牧元が居なくても進む段階に来ているのだ。
最初のコメントを投稿しよう!