Phase 00 Prologue

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「牧元は今は私の会社の福利厚生施設の中に居る。 場所は伊沢郡の使われて無い保養施設、清風荘だ」 「そう・・・解ったわ」 女は伊藤泰蔵の首筋からナイフを外し、約束通り伊藤泰蔵の拘束を解いてやった。 「ここから、川沿いに下って行けば一時間位で街に戻れるわ。 あなた・・・この先の人生を生きていたかったらもうDR・Wとは関わらない方がいい」 女は伊藤泰蔵に背を向けて、この場を去ろうとしている。 白い半袖のシャツの上にベストを羽織り、黒いカーゴパンツのスタイルは戦闘的なイメージを際立たせているが、細い身体と若い女という事もあり、拘束が解かれた今の自分だと余裕で倒せそうに思えていた。 「小娘がッ・・・DR・Wの事を何処で知ったか吐いて貰うぞ」 伊藤泰蔵が女の肩へ手をかけようとしたが、それより早く女が伊藤泰蔵の鳩尾へと拳を突き入れていた。 「がはぁッ・・・息がぁ・・・」 とうずくまり苦悶の表情を浮かべる顔面へ容赦無く女は蹴りを入れていた。 「あぁぁぁッ・・・助けてぇぇぇッ」 「・・・・・・解ってないようね。 あなたにチャンスを上げたのに」 悶絶する伊藤泰蔵の顔面を無表情で蹴り続ける状況は、伊藤泰蔵がピタリと動かなくなる迄続いていた。 「やはり、予想通り伊藤もDR・Wに関わっていたか・・・」
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