白色コンプレックス

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  私の学校では、靴下は白色という校則がある。 許されるのはワンポイントのみ。レース付きはOK。クリーム色、グレーはアウト。 私はこの校則が死ぬほど嫌いだった。というよりも、白色が嫌いだった。紺色の制服に、そこだけが目立つ真っ白な靴下。 私は、運動部であるのをいいことに、いつも汚れた靴下を選んで履いていた。 ムカつく事にスカーフまで白色指定なので、こちらは普段あえてしていない。まあ大抵、先生方に怒られるのだが…… この胸がヤけるような感じより、ずっとマシだと思えた。 (私は汚い、汚れて真っ黒だ。明るい未来なんて訪れはしない、ただ能々と消費を繰り返すだけ。誰にも期待されてはいないし、誰にも求められてなんかいない。私なんて、私なんか…――) 私は身の回りの物を、暗色で揃えていた。そうしないと落ち着かなかったから。唯一明るいものといえば、消しゴムと教科書ノートくらいなもので、よく使う物は黒がもっぱらだった。 そんな真っ黒な私の世界に。 「貴方って暗い色が凄く似合うのね!大人っぽくて素敵」 真っ白なレース付きの靴下にピンクの髪ゴム、この世の暗い部分なんて一つも知らないような真っすぐで綺麗な目をした女の子。 (人の気も知らないで――) 「ありがとう」 「いいな、私も貴方みたいになりたい」 「じゃあ、なってみる?」  
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