落とし物

2/2
前へ
/10ページ
次へ
  あっと気づいた時にはもう、あの子はそこに居なかった。 どこではぐれてしまったんだろう ついさっきまで、そこで人懐っこい笑顔を見せていたというのに。 周囲を見渡すが、やっぱりそれらしい姿は見当たらない そうなって初めて、自分があの子について全く知らなかった事に気がついた。 連絡先も名前も出生ですら分からない以上、探すに探せないなと一分もしない内に、探すことを諦めた そんな自分が、酷く薄情に思えて仕方がなかった。  
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加