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二人が付き合い出して1週間程経ったある日。
土方は銀時の元を訪れていた。
「…なぁ銀時。」
土方が煙草を吹かしながら向かいに座ってジャンプを読んでる銀時に話かける。
「…ん~…?何だよ?」
ジャンプからは目を離さず答える銀時。
「お前のこと…近藤さんに紹介してぇんだが…。」
「……はぁ?」
銀時が不思議そうな顔で土方を見る。
「紹介って…今更知らぬ仲じゃあるまいし。」
ふぅ…と土方が煙草を吐き出す。「恋人として紹介してぇんだよ。」銀時がきょとんとする。
「え~…っと…別にいいんじゃね?いちいち報告しなくても。」
銀時は曖昧に笑いながら頭をポリポリと掻く。
「それに…俺みたいなオッサン紹介したら卒倒しちまうぞ?」
土方が煙草を灰皿に押し付け立ち上がると銀時の横に座る。
「そんなことねぇよ。近藤さんならどんな相手だろうが祝福してくれるさ。」
そう言って手を握る。銀時が赤くなって俯く。
「…でもよぉ…。」
渋る銀時の肩を抱く。
「…大丈夫だ。それともバレたら困ることでもあんのか?」
土方がジッと銀時を見据える。
暫くして銀時が土方の胸に顔を埋める。
「…分かったよ…。紹介でも何でもしやがれ。」
それを聞いた土方が銀時を優しく抱き締める。
「よし…じゃあ行くか。」
銀時の手を取り立ち上がる。
「…え?今から…か?」
驚いて土方を見る。
「あぁ、実はもう近藤さんには話してある…俺の大事な人を紹介したいってな。」
カァと銀時が赤くなる。
土方はそんな銀時を面白そうに見ながら手を引いて歩き出した。
連れて来られたのは真選組屯所。
「副長!お疲れ様です!」
門番が大声で敬礼するが、一緒にいる銀時を見て驚いた様子だ。
「行くぞ…って、どうした?」
銀時が顔を引きつらせて周りをキョロキョロする。
「いや…何か俺、罪人みたいじゃね?」
土方がため息をつく。
「いいから…ほら行くぞ!」
グイッと銀時の腕を引っ張る。
「ちょっ…わかったから…引っ張んなよ!」
よろけながら土方の後を付いていく。中へ進む毎に他の隊士達の好奇な視線が注がれる。
「あれ、旦那じゃあないですかぃ?どうしやした?何かやらかして土方さんにしょっぴかれたんですかぃ?」
前から来た沖田が面白そうにそう言った。
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