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「……遅い。」
土方はそう呟いて3本目の煙草に火を点けた。
ここはとある公園。土方は銀時との待ち合わせのために来ていた。季節は春。少しづつ桜も色づき始めていた。その桜を眺めつつも苛々が納まらない様子の土方。
それから暫くして向こうからのらりくらりと銀時がやって来た。
「いやぁ、悪い、悪い。ジャンプ読んでたら遅れたわ。」
特に悪びれた様子もなくそう告げる銀時。その態度が余計土方を苛つかせる。
「遅れたじゃあねぇよ!どれだけ待ったと思ってんだぁ!?」
それを聞いてはぁとため息をつく銀時。
「だから、謝ってんだろが。ちょっと遅れたぐらいなんだよ。」
その言葉に土方がブチ切れた。 「ちょっとか!?1時間がちょっとか!?」
ぽりぽりと頭を掻く銀時。それが益々、土方を苛つかせた。
「大体デートに遅れてくるたぁどういう了見だぁオイッ!!」
「…いちいちうるせぇよ!大体てめぇこそいちいち時間前に来てんじゃあねぇよ!初デートにウキウキしてる女子中学生ですか、コノヤロー!!」
「あんだと!遅れた上に逆ギレかぁ!!何様だてめぇぇぇ!!」
ぜぇぜぇと息を切らし、睨み合う二人。チッと舌打ちし、4本目の煙草に火を点ける。一息吸った後、土方はドカッとベンチに座り込んだ。
「…ったく、こっちは仕事の合間に来てるってのに…。」
それを聞いた銀時は改めて土方を見た。よく見ると隊の正装を身に纏っている。
「あれ?オフじゃなかったのか?お前。」
「…今朝、急に仕事になったんだよ。」
銀時はその言葉に顔をしかめる。「はぁ?だったらこんなとこに来てる場合じゃあねぇだろが!」
「近藤さんに事情話したら2時間だけならいいって言ってくれたんだよ。…それなのに…。」
土方はギロリと銀時を睨み付けると…。
「…てめぇが盛大に遅刻したせいでもう時間がねぇじゃあねぇかよっっ!!」
その台詞に銀時はカチンときた。「何?俺のせい?俺のせいですかぁ!?それならそうと先に言ってくれてりゃあ俺だって遅刻なんか…。」
「しねぇと言い切れんのか?今までだって時間通りに来たためしがねぇお前が?」
ぐっとなり、押し黙る銀時。そんな銀時を白けた表情で眺めつつ、チラッと腕時計に目をやる。
「…これ以上言い合っても仕方ねぇ。益々時間がなくなる。」
そう言って自分の隣に座れと銀時に言った。
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