こんなにも君が愛しい

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銀時が土方の口から煙草を取る。「…お前、これ…逆。」 銀時が苦笑する。 土方が赤くなって銀時から煙草を奪い返す。 「…へぇ…お前でもそんな顔すんだな。」 ニヤニヤと土方を見る銀時。 「…うるせー…はぁ…テメーなんぞほっときゃよかったよ…!」 そう言うと今度はちゃんと煙草を加え火を点ける。 「警察が酔い潰れた善良市民をそのまま放置しますか…職務怠慢だな…世も末だなオイ。」 銀時がやれやれと手をかざす。 「誰が善良市民だぁぁぁ!?」 そう土方が怒鳴ると銀時が笑う。 「そうそう、そうやって怒鳴り散らしてる方がお前らしいよ。」 「……!?」 銀時がニヤリとする。 「だって最近のお前…らしくなかったからさ…町で会ったら以前は理由があろーがなかろーが突っ掛かってきやがったのにさ…最近はさっぱりで…おかげでこっちは調子狂うっての。」 確かに最近の土方は銀時の顔がまともに見れず町中で見かけてもなるべく避けるようにしていたのだが…。 「それが今は…嫌いな相手を家まで送って介抱する始末だし?」 「…嫌いな相手って…。」 銀時が怪訝な顔になる。 「だってお前、俺のこと嫌いなんだろ?」 土方は黙り込んでしまった。否定も肯定もしない土方に銀時は…。「…どしたぁ?いつものお前なら『当り前だぁぁ!ボケぇぇぇ!』とかって怒鳴り散らすだろが。」尚も黙り込む土方に…。 「…なぁ…まさかとは思うが…お前…俺に惚れてる、なんてこたぁねーよな…?」 銀時が冗談混じりに言う。だが土方は相変わらず黙ったままだ。 銀時が苦笑する。 「…おいおい…ここは否定するとこだろ?それとも…図星?」 「……っ!」 銀時がじっと土方を見つめる。目を逸らしたいのに銀時の真っ直ぐな視線がそれを許さない。 「……俺は…。」 ようやく絞りだした台詞だが携帯の着信音に遮られる。 「…はい。…そうか、わかった…すぐ戻る。」 電話を切りそのまま立ち去ろうとする土方に銀時が声を掛ける。 「…続きはまた今度聞かせてもらうよ…。とりあえず…連れて帰ってくれてサンキューな。」 土方は無言で銀時に背を向けて万事屋事務所を後にした…。
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