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「…ん…?」
ゆっくりと目を開け伸びをする土方。
「…夢か…。」
土方はまだ銀時に告白する前の出来事を夢に見ていた。自分の気持ちがまだ分からなかった頃の夢。
(なんだって今ごろ…)
ここは万事屋事務所。仕事が終わり銀時の元を訪ねたが疲れていつの間にかソファーで座ったまま眠ってしまったらしい。
ふと隣を見ると毛布に包まり土方に凭れかかって眠る銀時が。
土方は銀時の肩を抱き髪に頬を寄せる。
(そういやぁ…あの後で銀時に告白したんだったな…。玉砕覚悟だったのに…あっさりOKされて拍子抜けしたが…)
土方がその時を思い出して苦笑する。
(本当…分かんねぇもんだよな…出会った頃はそれこそ顔も見たくなかったのに…今は…)
銀時が身動ぎし目を開けた。
「…起きたのか。」
銀時が目を擦る。
「ん…ふわぁ…あ、ごめんな寝ちまって…。」
大きなあくびをしながら言う。
「気にするな。俺も…少しだけ寝てたから。」
そう言って銀時を抱き締める。
「…そっか…。」
銀時も素直に身体を預ける。
「銀時…。」
名前を呼ばれて顔を上げる。
「…ん?」
土方が唇を重ねてくる。目を閉じて素直に受ける銀時。
軽く触れ合うだけのキス。
「…好きだ。」
唇を離した後、一言そう言ってまた銀時を抱き締めた。
土方の腕の中で赤くなる銀時。
髪をそっと撫でる土方。
「…くすぐってぇよ…。」
銀時が土方にしがみ付く。
「…綺麗な髪だよな…。」
銀時がピクッと反応する。
「…はぁ?…どこがだよ…こんなのただのボサボサな天然パーマなだけだぞ?…白髪だし。」
銀時がムスッとした顔を土方に向ける。
「…銀髪だろうが。…ったく自分でけなしてどうすんだ…。」
土方が苦笑する。
「誰かさんも以前は散々けなしてくれたけどな?」
土方を軽く睨む銀時。
「あん時は…あれだよ…まだお前のこと…何とも思ってなかったし…。でも今は…。」
そこまで言って言葉を切る。
「…でも今は…何?」
銀時が首を傾げる。土方は苦笑して首を横に振る。
「…何でもねぇよ。」
そう言って銀時の頬にキス。
「な、なんだよっっ…こ、こんなんで誤魔化すなよ…。」
カアッと赤くなり下を向く銀時。土方がそんな銀時を優しい目で見つめる。
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