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銀時がポリポリと頭を掻きながら不機嫌そうに言う。
「…くだらねぇって…!俺にとってはなぁ…!」
反論する土方だが銀時の顔は白けている。
「話はそんだけか?じゃあ俺もう行くわ。」
そう言って土方に背を向けて後ろ向きで手を振る。
「待て…まだ話は終わって…!」
土方が銀時の手を掴むと同時に携帯が鳴る。舌打ちをし銀時の手を掴んだまま携帯に出る。
「…俺だ…あぁ…チッ…わかった…すぐ戻る。」
電話を切ると仕舞いながら銀時に言う。
「…今夜仕事終わったらお前ン家行くからな。」
銀時が土方の手をバッと振り払うとニヤリと笑う。
「残念でしたぁ~今夜は飲みに行く約束してっから…悪ぃな。」
土方が銀時の肩を乱暴に掴む。
「…お前は…!俺よりそっち取るのかよ…!」
「…当たり前だろ?先に約束した方を優先すんのはトーゼンだ。」銀時が呆れたように苦笑い。
「…恋人だぞ俺は…!」
ボソッと言う土方を暫く見ていた銀時だがやがてため息をつく。
「はぁ…ホントいい加減にしてくんねぇ?恋人だからって…人のプライベートな付き合いにまで口出して欲しくないんですけど?」
「………!」
突き放した言い方をする銀時に土方は奥歯をギリッと噛んだ。
「…チッ…勝手にしろ…!」
土方は顔を背けると銀時の横を通りすぎ足早に去って行った…。
「…ったく…馬鹿が…!」
怒ったような困ったような…そんな口調で吐き捨てるように呟くと銀時もゆっくり歩きだした。
夜になり仕事を終えた土方が万事屋事務所の前に来ていた。
玄関は閉まっており中も真っ暗。(…本当に行きやがったのか…)
はぁ…とため息をつき煙草に火を点けると一息吸う。
春だと言うのに今夜はかなり肌寒い。ブルッと身体を震わせその場に座り込むと目を閉じた。
どれだけの時間が経っただろう。暫くすると誰かが階段を上ってくる足音が…。
「…やっぱ居やがったか…。」
銀時だった。座り込んでる土方の前に立つ。
「…飲みに行ったんじゃなかったのか?」
土方が銀時を見上げる。
「行ったよ!…行ったけど…ひょっとしたらお前が居るんじゃないかと思って…気になったら飲める気分じゃ無くなったんだよ…。」銀時が土方の傍に座る。
「…なんかさぁ…厄介なことに…分かっちまうんだよなぁ…お前の行動パターン…。」
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