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ため息をつくと土方の両頬に手を触れる。
「うわ…冷てぇ…お前スゲー冷えてんじゃん…いつから居たんだよ…全く…もしかしたら今夜は帰って来ないかもとか思わなかったのか…?」
土方がフッと笑い銀時の手を包み込むように握る。
「そうだな…けど…お前は帰って来た…。」
銀時が赤くなる。
「そ、れは…だから…気になったから…。」
土方が銀時を抱き寄せる。
「…悪かったな…いちいちお前の交友関係に口出して…。総悟の馬鹿にも言われたよ…そうだよな…あれ位でイラついてたらお前の恋人は勤まらねぇよな…。」
銀時が照れる。
「…いや、俺も…きつく言ってごめん…。」
ギュッと土方に抱き付く。
「…俺には見せねぇ笑顔だったからついイライラしちまったが…」土方が銀時をそっと離すと見つめる。
「俺にしか見せねぇ…俺しか知らねぇ一面もあるしな…。」
「え…?」
そう言って引き寄せ頬に軽く口付けると銀時が真っ赤になり俯く。
「…こんな可愛い一面があるってのを奴らは知らねぇしな。」
「ばっ…可愛くねぇし!」
銀時が赤くなり反論するが唇を塞がれる。
「…んん…っ…。」
強く抱き締め激しく口付けると銀時が顔を歪ませ震える。が、やがて背中に腕を回してしがみ付く。長い口付けの後、潤んだ目で土方を見る。土方が優しく笑うと…。
「…ほら、そんな顔も俺にしか見せねぇだろ?」
カァァと銀時が赤くなると土方から離れて立ち上がり背を向ける。「…馬鹿野郎…。」
照れくさそうにボソッと呟く。
土方も立ち上がると銀時を後ろから抱き締めた。
「…怒ったのか?」
銀時がフルフルと首を振る。
そんな銀時を更に強く抱き締めながら呟く。
「愛してる…銀時。」
銀時は目を閉じて土方の腕にそっと手を触れる。
暫くそのままだったがやがて土方が腕を解く。
「…中、寄ってくだろ?」
銀時が玄関を指差す。
「…今夜の飲み会お前のせいで無くなったからな…今日は朝まで付き合ってもらうぜ?」
銀時がニヤリと笑う。
「…俺、明日も仕事なんだが…。」土方が苦笑する。
「嫌ならいいぜ~?じゃあ今からまた飲みに…。」
そう言って行こうとする銀時の腕を掴む。
「…わかった…付き合うから…ただし…俺は飲まないぞ?」
土方がため息混じりに言う。
「いいぜ?じゃあ…酌してもらうかなぁ…多串くん?」
土方は肩をすくめやがて銀時の肩を抱き中に入った。
その後は銀時が酔い潰れて眠るまで傍に居た土方だった…。
(おわり)
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