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「はぁ~ぁ…ついてねぇな…。」
ここは万事屋事務所。銀時がソファーに座り右足に巻かれた包帯を見ながらため息。
お昼に出掛けようとして階段を降りていた所、あと5段程のとこで足を滑らせ転落し、捻挫した銀時だった。
「本当に気を付けて下さいよ?いくら慣れた階段とはいぇ…。」
事務所に来ていた新八が心配そうな顔で言う。
「いや~…まさか踏み外すとは思わないものなぁ…歳かねぇ…。」はぁ~…と今度は深いため息をついた。
「まぁでも…大したことなくてよかったですね。骨に異常もなかったですし。」
新八がちょっと安心して言う。
「…まぁな…。」
銀時が頭を掻きながら答える。
その時、玄関の方が急に騒がしくなったと思ったらガラッ!と勢いよく戸が開いた。
「万事屋!!」
そこには息を切らせた土方が。
「…な、何だよ?急に…お前仕事中じゃ…。」
銀時がびっくりして土方を見る。が、土方はそれに答えず銀時の傍に立つ。
「お、お前が…大ケガした…って聞いた…から…よ…!」
ゼェゼェとまだ息を切らせながら言う土方に銀時が顔を引きつらせ新八を見る。
「…お~い新八くんよ…この馬鹿になんつったんだ?」
銀時が病院で手当てを受けてる間に新八が屯所にいる土方に連絡を入れていたのだが…。
「いや…僕は普通に軽い捻挫だって言いましたよ?あ、ただ土方さん居なかったんで伝言頼みましたけど…。」
銀時は嫌な予感を感じながらも新八に…。
「…誰に伝言頼んだんだよ?」
なんとなく答えは予想出来たがとりあえず聞いてみると…。
「沖田さんです。」
銀時はやっぱりなと思い頭を抱えた。
「…なぁ…アイツに言ってまともに伝えると思うか?」
「そ、そうですね…すみません。」新八も苦笑い。
土方が一人取り残された感じで怪訝な表情をしていた。
「…大ケガって嘘なのか?」
漸く呼吸が整った土方が言う。
「…いや、まぁ…一応…ケガはケガだよ…つっても軽い捻挫だけどな…。」
右足を上げて土方に見せる。
「大体さぁ…大ケガで自宅に居ること自体おかしいと思わなかったのかよ?」
銀時が呆れて言う。
「いや…金無くて自宅療養になってんのかと…。」
土方のその台詞にカチンときた銀時。
「…何?遠回しに馬鹿にしてる?馬鹿にしてるよなぁ?…ふん、悪かったなぁ…貧乏でよぉ!!」
プイッと銀時が顔を背ける。
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