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「…じゃあ大したことないんだな?」
「だから言ってんだろ…軽い捻挫だ…って…。」
最後の方の台詞は小さくなる。土方が銀時を抱き締めてきたからだった。
「…ちょ…!?」
銀時が硬直するが土方は更に強く抱き締める。
「…よかった…!」
心底安心したように銀時の耳元で小さく呟く土方。銀時は赤くなるが照れたように笑う。
「…心配しすぎだ…バカ…。」
照れ隠しにそう言うと土方の背中に腕を…回そうとしたが新八がいたのに気付くと押し退けた。
「…お前は…ちったぁ場所わきまえろよ…。」
だが新八は特に気にした様子はなく…。
「別に僕のことは気にしないでください。慣れましたから。」
そう言って笑う新八に銀時が困ったように曖昧に笑う。
「と、とにかく!大したことねぇんだから…仕事戻れよ!」
土方にシッシッというように手をヒラヒラさせる。
土方は暫く考えると携帯を出し電話を掛けはじめる。
「…あ、近藤さんか?実は銀時がケガしちまって…俺、傍に居たいんだが…ダメかな?」
銀時がギョッとなる。
「ちょ…お前…何を…!?」
銀時が言うが気にせず電話を続ける土方。
「……そうか、わかった。すまねぇな。」
そう言って電話を切ると銀時に向き直る。
「…近藤さんに許可取った。今日はお前の傍にいるからな。」
土方が携帯を仕舞いなから言う。「…お前…どんだけ過保護だよ…」銀時が呆れるが顔は笑っていた。「どっちにしろ…このまま仕事戻った所でお前が心配で仕事にならねぇしな…。」
銀時が赤くなる。
「…じゃあ土方さん、後はお願い出来ますか?あ、これ替えの湿布です。」
新八がそう言って湿布の入った袋を渡す。
「…あぁ任せろ。」
土方が頷くと新八は事務所を後にした。
土方は刀を外し上着を脱ぐと銀時の隣に座る。
「…ったく…本当に心配性なんだから~多串くんは…。」
銀時が茶化すように言う。
「お前にだけだよ…。」
キッパリ言う土方に真っ赤になり顔を逸らす銀時。
土方がそっと銀時の手を握る。
「……!」
銀時が土方を見ると優しく微笑み顔を近付ける。
「…ちょ…待っ…!」
銀時が土方から顔を背ける。
「…待てねぇ。」
そう言って銀時の肩を抱き寄せ頬に手を当てる。
「いや…だから…俺、足ケガしてるし…!」
何とか止めようとするが…。
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