隣の子猫

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「中野梓と言います。隣の席です。よろしくお願いします」 「ふ~ん」 俺は梓から視線を逸らす。そして自分の顔を見られないように少し前の方に歩く。  駄目だ。あいつの事を思い出すと悲しくなる・・・ 「梓・・・か・・・」 「? どうかしました?」 梓が俺の顔を覗くようにひょこっと出てくる。 「なんでもねーよ」 「・・・そうですか」 「入学式の場所どこ」 俺は梓に聞く。 「講堂です」 「ありがと」 俺は梓から逃げる様に教室を出て、講堂へと向かった。 「何だか・・・悲しそうだったな・・・」 梓は誰もいない教室でそう呟き教室を走って出た。
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