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「はい、次は・・・梓さんだね」
担任が梓を指名する。
もうそろそろ俺まで回ってくるな。
そう思い体を起こす。起こすと同時に梓が席から立つ音がした。
「K中学から来ました。中野梓です。趣味はギターを弾くことです。みなさんよろしくお願いします」
真面目に頭を下げて椅子に座る。
へぇ~、こいつギター弾いてたのか。
俺もギターを小学生の頃から弾いている。親の影響とかではない。かなり小さいときから音楽が好きでその中でもギターが一番好きだったから弾き始めただけだ。
梓が座った話声がかすかに聞こえた。
「おっ、可愛い子発見!」
「マジだ!ってかこの高校可愛い子多いよな」
「俺達、幸せ者かもな・・・」
話声は男子からだった。可愛い子を見つけてたくさん話しかけて仲良くなろうとする、よく見る必死な奴らだ。
馬鹿馬鹿しい・・・
俺は机にひじをつき手で顔を支える。
「でわ、次~っと光君!」
指名されたか・・・
俺はゆっくりと立ち上がる。
「L中学から来た、金野光です。よろしく」
俺は軽く礼をして座る。周りがざわつき始める。
「おいおい、聞いたか?」
「L中の光ってあれだろ?かなりの不良だがって」
っと俺の事をチラ見しながら言う男子。
「ちょっとかっこいいかも」
「私の好みだわ~。あの人」
俺のことを何も知らない外見だけで決める女子。
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