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「はぁ……。」
無機質な白い部屋で小さな溜め息がこぼれた。
部屋の中にある立派な椅子に座り、机に頬杖をつきながら、その男はもう一度溜め息を吐いた。
「……はぁ。」
コンコン
男が溜め息を吐き出してすぐ、何もないはずの白い壁からノック音がした。
「は~い。どうぞ。」
男は尚も頬杖をつき、どこかボーッとしながら気の抜けた返事をした。
「失礼します。」
壁の向こうからそんな声が聞こえたかと思えば、まるで瞬時に切り取られたかの様に白い壁の一部が消え、そこから一人の男が入ってきた。
「神様。先程、一人、現れましたが……如何なさいますか?」
入ってきた男は、入口の側から動かずに、その男──神へと語りかけた。
「君か…。うん。では、行くとしようか。」
神は入ってきた男を一瞥すると、ゆっくりと立ち上がった。
「……お言葉ですが、そろそろ限界かと思われますが……。」
神が立ち上がったのを見てから、男が口を開いた。
「……あぁ。私もそれを考えていた所だ。だが、なかなかいい奴が来ない。」
神は些か表情を暗くして答えた。
「……恐らく、“アレ”が耐えられなくなるのも時間の問題かと…。」
男は少々表情を厳しくして言った。
「……はぁ。」
神は一度溜め息を吐き、そして決意したように言った。
「──仕方がない。明日だ。明日の0:00までに来なければ、一人で行かす。これは決定だ。」
神のその声を聞き、男は
「御意。」
と一礼をして答えた。
そして、男と神は共にその場を後にした──。
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