第1話

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異様な臭気に満たされた部屋 そこで“儀式”は行われていた 打ち放しのコンクリートの壁には コケともカビとも付かない何かが生えて緑色に染まっている 灯篭の灯りで照らし出された脂汗をたらすメタボの中年男性は、 何やらブツブツと独り言を呟いていた その出っ張った腹と、 どこからか解らないほど短い足、 似合わない緑色のキレイなスーツにその身を包んでる その玉虫のような男の顔は驚喜に歪む 部屋の中央に座りこむ、1人の少女がいた 彼女の周りには 数分まで人間だった、何かが散らばり 血の海が広がっていた 目は見開き、 光が無かった ただ、真っ赤に染まった手を見つめながら 『成功だ』 部屋の隅にいた、玉虫が呟いた
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