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水面に波紋が広がる、
セイジは今にも落としそうなコップを包むように
彼女の手の甲に重ねた
由宇の指は細く、
そして冷たかった、
あの時みたいに…
『あれから追ってもこないし、
大丈夫じゃねぇの?』
セイジは明るく振舞う
今にもまた光を失いそうな彼女を、
一分一秒でも長く、
守ってやりたい
心の中で、
そう願っていた
目が覚めたらベットに寝ているハズの由宇が
居なくなっていて正直焦っていた
『心配すんなって』
自分にも言い聞かせるよう放った言葉を見透かされないように、
奥二重の目をじっと見つめる
彼女のすっと定規で引いた鼻が、
小ぶりで目立たないだけに
ほどよいボリューム感で形の整った唇に目が行った
上の方だけ艶やかに妖気を放って光っているそれに
セイジは引き込まれそうになる
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