第1話

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水面に波紋が広がる、 セイジは今にも落としそうなコップを包むように 彼女の手の甲に重ねた 由宇の指は細く、 そして冷たかった、 あの時みたいに… 『あれから追ってもこないし、 大丈夫じゃねぇの?』 セイジは明るく振舞う 今にもまた光を失いそうな彼女を、 一分一秒でも長く、 守ってやりたい 心の中で、 そう願っていた 目が覚めたらベットに寝ているハズの由宇が 居なくなっていて正直焦っていた 『心配すんなって』 自分にも言い聞かせるよう放った言葉を見透かされないように、 奥二重の目をじっと見つめる 彼女のすっと定規で引いた鼻が、 小ぶりで目立たないだけに ほどよいボリューム感で形の整った唇に目が行った 上の方だけ艶やかに妖気を放って光っているそれに セイジは引き込まれそうになる
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