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「今は白薔薇が一番の時季なのね。」
緑の中の綿雪のような、その傍らに立てばまるで白薔薇の精のよう。
その花よりも白い顔と白い手で、花を愛でる姿は哀しい程に愛らしい。
まだ十五にもならぬ妹よ。
病のために外へも出られず、恋さえ知らぬ無垢な心。
その白いだけの心を色とりどりに染めてやりたい。
淡い思いも、切ない思いも、どのような色もしらせてやりたい。
その胸が、やがて己の血で咲かせる紅薔薇で塗りつぶされてしまう前に。
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