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彩志との出会いから三月が過ぎた折である。
都季と母が庭に敷いた筵(むしろ)の上で豆の莢(さや)を剥いていると、近所の商家の主人がやってきた。
「おい、下人。旦那様は在宅か」
「お待ちください。直ちに呼んで参ります」
母が立ち上がり、母屋へと中所長を呼びにいった。
都季は手を止めて顔を上げた。
商家の主人に続いて大きな台車が門を潜ってきたからである。
その上には見た目にも豪華な調度品が、都季の背丈を越えるほどまでにどっさりと積まれていた。
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