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「そうか?」
私の気持ちなんて全く気づいていないゆーちゃんは普通だろといった感じで呑気に笑って返すだけ。
しかも私が居るのに木崎さんは全く気する様子もなく、更に会話を続ける。
---私の分からない会話が飛び交う。
ハッキリ言ってつまらないし、面白くもない。
いっそ先に教室に行きたい気持ちもあるが、それ以上に木崎さんとゆーちゃんを二人きりにしたくないという気持ちの方が勝っていしまう。
「ごめん、つい話し込んじゃって」
私の様子に気づいたのか、木崎さんが慌てた感じで、自ら話すのを止めた。
「あ、ごめんな。幸江まで足止め食らわせて……」
木崎さんに言われ、ゆーちゃんも私が隣にいることを思い出してくれたようだ。
「ううん。ゆーちゃん、また放課後ね」
私は何でもないフリをして木崎さんに軽く会釈して、その場を足早に立ち去る。
傍に居るのに寂しさを感じてしまう悲しさをゆーちゃんには分からないだろうな……
本当は一緒に行くよ、ってあとを追って来てほしかったのに、足を止め振り返ると、ゆーちゃんはまた木崎さんと楽しげに話していた。
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