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ゆーちゃんが教室からカバンを取り、2人で木崎さんに別れを告げ帰路に着くのだと思っていた。
でも、そう上手くは事は済まなかった。
ゆーちゃんが教室にカバンを取りに行っている間、私は木崎さんと廊下に2人きり。
勿論、ほんの少し前まで知らない人で初対面。
上手い会話なんて見つかるわけもなく終始沈黙のまま。
愛想笑いにも限度があり、私は居たたまれなさから、教室に行ったゆーちゃんの姿を目で追ってしまった。
---それが、これから起こることすべての始まりだったのかもしれない。
私が見なければ、知ることもなかったかもしれない。
でも、私は見てしまった。
そして思わず口に出して言ってしまった……
「---あの席って、ゆーちゃんの席だったの?」って。
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