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私は、その声が誰のものなのか振り返らなくても分かっていた。
悪い人じゃないけど、どうしても好きになれない苦手な人。
「おはよう、木崎」
私とは違い、その声に迷わず振り返り挨拶をするゆーちゃん。
「おはようございます」
私も自分の中で一息つき、ワンテンポおいて振り向き挨拶をする。
彼女の名前は木崎 美優(キザキ ミユウ)さん。
ゆーちゃんと同じクラスの人だ。
毎日のことながら器用に編み込まれた髪。
私が毎朝頑張るのは彼女に対する勝手な対抗心のせいでもあった。
「おはよう、いつも仲良いね」
私たちを見て羨ましそうに言うが、言葉に棘を感じてしまうのは私だけだろうか。
---ああ、嫌だ。
完全に負けてしまっているせいか、彼女を目の前にするとつい捻くれた考えばかりがポンポンと出てきてしまう。
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