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「それでは少し出掛けてくる。
城外の視察も余の勤めであるからな」
そう言い残し城を脱け出そうとすると、案の定ヴァラルから足止めをくらう。
「はぁ~~陛下、又ですか!?
城外の視察と仰いますが、毎回民と雑談した後に大量の土産物を城に持ってくるだけでありませんか!」
「良いではないか、皆嬉しそうに土産物を食べておるぞ?」
「その大量の土産物を毎回城に一人で持って帰るのは僕なんですよ?」
「そうだったな、では次からは余は一人で行くとしよう」
「だっ…ダメですよ!陛下一人で城外へ行くなんて!」
「む?それは余には盗賊ごときを蹴散らす力が無い、と言いたいのか?
こう見えても他国から幾度と無くこの国を守ってきたのだぞ。」
「それは承知しておりますが、万が一という場合も備えなければなりません!」
「むむむむむぅ……」
「ぐぐぐぐぐぅ……」
ヴァラルとにらみ合いをする。
まったく、小五月蝿くてかなわん!
「何をやっておられるんですか、陛下とヴァラル……」
「ビヨール!」
見るからに重そうな鎧を纏ったこの男の名はビヨール。
ヴァラルとビヨールはこの国を……余を護り、仇なす敵を切り裂く我が国ボーレタリアの双剣である。
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