第1章

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「じゃあ、何か記録でもあるの?」   「それはない。口頭で伝わっているだけだと言っただろう」   「……」      家系。      この夢を見る力が、平安時代から続いている力だというなら、またあの世界に戻れるかもしれない。      でも、どうやって?    どうやってこの力を使えるようになるの?      ここはもう私の世界じゃななくなってしまった。    この世界にいると私は自分を見失ってしまう。    あの世界にもどりたい……。     「まさかお前にその力が現れるとはな……」   「お父さん、私!」   「私に力はない。使い方もわからん」      父は悲しそうな顔で私を見ると、無言で立ち上がる。    そして、そのまま事務所を出て行ってしまった。  
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