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「じゃあ、何か記録でもあるの?」
「それはない。口頭で伝わっているだけだと言っただろう」
「……」
家系。
この夢を見る力が、平安時代から続いている力だというなら、またあの世界に戻れるかもしれない。
でも、どうやって?
どうやってこの力を使えるようになるの?
ここはもう私の世界じゃななくなってしまった。
この世界にいると私は自分を見失ってしまう。
あの世界にもどりたい……。
「まさかお前にその力が現れるとはな……」
「お父さん、私!」
「私に力はない。使い方もわからん」
父は悲しそうな顔で私を見ると、無言で立ち上がる。
そして、そのまま事務所を出て行ってしまった。
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