第1章

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「淡雪!」      後ろから名前を呼ばれて振り返ると、原田さんと斉藤さんが立っていた。    2人は新選組の羽織を羽織っている。     「あれ? これから市中見回りですか?」   「いや、俺達は京を出たんだ」   「え?」      京を出たって、今、目の前にいるのに原田さんは何を言っているんだろうか?    ここは京じゃないの?      辺りを見回そうとして、足元に水があることに気付いた。      水?      小さな小波が寄せていることに気付いて顔をあげると、原田さんと斉藤さんの向こうに小船が浮かんでいることに気付いた。    今夜は満月とはいっても暗い海辺だったからか、船がに気付かなかったらしい。  
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